見張りを増やす前に、手が要る回数を減らす
業務を自動で回し始めたら、そこに残った「決まった日に人が1回だけ手を動かす」場所を探して消してください。判断の余地がない一手ほど落ちます。やらなくても直前まで何も起きず、思い出す手がかりがないからです。
<先に結論>
業務の一部を自動で回すようにしたら、そこに残った「決まった日に、人が1回だけ手を動かす」場所を探して消してください。確認や見張りを足すのは、そのあとです。
AIや道具に業務を渡しても、全部が自動になることは、ほとんどありません。たいていは大半が自動で進み、最後にひとつまみだけ人の手が残ります。渡した直後は、それで十分に見えます。手間は確かに減っているからです。
問題が出るかどうかは、残った一手の性格で決まります。毎日やることなら、まず落ちません。やらなければその日のうちに気づくからです。危ないのは、決まった日に1回だけ来る一手のほうです。
自動で進む側と、人が動かす側が噛み合わなかった
記事を3か所へ同時に出す作業のうち、1か所だけが手作業で残っていました。そこで、公開日が来たら自動で出るように作り直しました。記事に公開日を書いておけば、その日の朝に自動で世に出る。ここは狙いどおりに動きました。
ただし、その仕組みには、もうひとつスイッチが残っていました。書き終えてから公開日までのあいだ、記事を伏せておく設定です。これは人が外さないと動きません。
つまり、片方は放っておいても進み、もう片方は人が動かさないと進まない、2つのスイッチが並んでいたことになります。
公開日の朝、自動の側は正常に動きました。ところが伏せておく設定が外れていなかったため、3か所のうち2か所は予定どおり公開され、1か所だけが出ませんでした。
「分かっていること」と「その日に手が動くこと」は別
この落ち方は、事前に分かっていました。仕組みを作ったときの記録に「外し忘れれば2か所だけ出る」と、ほぼそのままの言葉で書いてあります。外す作業には期日をつけ、作業一覧にも登録してありました。
それでも落ちました。危険を見つけること、文書に残すこと、作業として登録すること。どれも「知る」側の対策であって、その日に手が動くことの担保にはなりません。
判断の余地がない一手ほど、落ちやすくなります。設定をひとつ戻す。日付をひとつ進める。こういう作業は、やらなくても直前まで何も起きません。だから思い出す手がかりがない。忘れたことに気づくのは、たいてい何かが出なかったあとです。
まず、期日に人が1回だけ動く場所を数える
直し方に入る前に、探す作業があります。
いま動いている手順を1つずつ見て、「この日に、これをやらないと止まる」という箇所を書き出してください。毎日やることは外して構いません。習慣で守れます。
残るのは、たまにしか来ない一手です。月末だけ、公開日だけ、締切の前日だけ。ここが弱点になります。
消し方は3つある。上から順に試す
1. その一手を、そもそも要らなくする
いちばん強い直し方です。先ほどの例では、伏せておく設定を「普段は使わない」側へ倒しました。公開日が先の記事は、日付を見るだけで伏せられます。伏せる設定のほうは、公開日が来たあとに内容の都合で急いで止めたいときだけ使う、非常用に用途を絞りました。
これで、公開日に人がやることは無くなりました。
2. 条件が揃ったら、道具の側から動くようにする
一手を消しきれない場合でも、判断が要らない作業なら道具に任せられます。「この日になったら、これをする」は、人が覚えておく必要のない種類の仕事です。
3. どうしても人が要るなら、向こうから声がかかる形にする
判断が要る一手は残ります。その場合も、こちらが思い出す形にはしないでください。カレンダーの予定は、忙しい日には黙って流れます。
置くなら、状態を見て「まだ動いていない」と言ってくる形にします。予定日が来たかどうかではなく、やるべきことが済んでいないという事実を見て声がかかる。この違いは、予定が埋まった日にはっきり出ます。
見張りは最後に置く。しかも鳴る条件を絞る
ここまでやっても消えない場所には、見張りを置きます。順番として最後なのは、見張りを足しても、その見張りが動かなければ同じことが起きるからです。人の一手を減らさないまま監視だけ増やすのは、手数を1つ増やしているのと変わりません。
置くときは、鳴る条件を絞ってください。
毎朝「異常なし」と知らせてくる見張りは、読み飛ばす習慣を作ります。そして読み飛ばす習慣ができたころ、本当に異常が出た日の警告も一緒に流れます。出るはずのものが出ていないときだけ鳴らす。 意図して止めているものと、事故を、同じ行にまとめない。
見張りが見る先も決めておきます。記録ではなく、現物です。記録は「やったつもり」で書かれることがあり、そのときは記録どうしを突き合わせても食い違いが出ません。実際のページを開く。実際の送信箱を見る。ずれは、そこでしか見つかりません。
その見張りが動かなければ同じことが起きるから。
まとめ
- 業務を自動で回し始めたら、残った人の一手を数える。毎日の作業は除き、たまにしか来ない一手を探す
- 判断の余地がない一手ほど落ちやすい。やらなくても直前まで何も起きないので、思い出す手がかりがない
- 消し方は3つ。①要らなくする ②道具の側から動かす ③向こうから声がかかる形にする。上から順に試す
- 見張りは最後。鳴る条件を絞り、出るはずのものが出ていないときだけ鳴らす
- 見張りが見るのは記録ではなく現物
危険を知っていることと、その日に手が動くことは別です。「気をつける」で守れるのは、毎日触っているものだけだと考えておいたほうが安全です。
今日のアクション
- いま動いている手順のうち、「決まった日に人が1回だけ動く」箇所を書き出す
- そのうち1つを選び、消せないか考える(要らなくする/道具に任せる/向こうから声がかかる形にする)
- 消せない1つには、鳴る条件を絞った見張りを置く